綺麗
「綺麗な人は好きですか!?突撃アンケートにやってまいりましたっ!ご存知、『月間セント・ラファエロ・ニュース』来月号の一面企画ですっ!さあ、まずは無難に、生徒自治会総長にお答えいただきましょう!セント・ラファエロで一番綺麗だと思う人は誰でしょう?」
「・・・・・・綺麗な人?どんな意味で?・・・なんでもいいのかい。大雑把だな。・・・そうだな。うん。やっぱり、ユウリ・フォーダムだね。彼より綺麗な人に、僕は会った事がないよ。・・・どんなところが綺麗かって?そうだな。ずばり、心、かな」
「おぉおっと、いきなり意外な回答が出ました!ユウリ・フォーダムに一票です!・・・しかし、さすが、校内の人気を二分するスーパースターですっ!一歩間違えればクサくも気障にもなりそうなセリフを、なんとも派手やかにもさり気なく、かっこよく言い切ってくれましたっ!インタビュアーが役得ですみませんっ!・・・さて、それでは、もちろん、もう一人のカリスマ、シモン・ド・ベルジュに突撃!インタビューっ!!」
「・・・・・・綺麗という言葉は、ユウリ以外に当てはまるとは思えないな。理由?勝手に想像してくれるかい。なんと思われようと、僕は構わない。君も、彼と近しくなってみればわかるよ。・・・まあ、そんな機会もないだろうけれど」
「ななななんと!校内の二大スターが、ただ一人の名前を出すとはっ!?・・・しかし、密かにささやかれる噂を考慮に入れれば、ある程度当然な結果かもしれません。・・・いやいやっ!今のとこカット!二大巨頭を敵に回したら、来月を待たずに廃刊になりますっ!・・・それにしても、このアンケートで想定していた結果の上位間違いないと思われた二人が、同じ人物をあげるとは。しょっぱなから、波乱の予感がしますっ。さて、では、ここで目線を変えて、来期の中心人物になるであろう人達に突撃してみましょう!まずは、ティエリー・バフォートですっ!」
「え?綺麗な人?・・・さあ。まあ、よくよく見れば、自ずとわかることだと思うけど。君、本当にわからないの?綺麗ってことは、美しいってことだよ。選ばれた者だってこと。ね、本当に、わからない?」
「・・・・・・・・・。・・・はっ!・・・失礼しましたっ。バフォートの魅惑光線にやられかけましたっ!公正であるべきインタビュアーとして、恥じ入る次第ですっ!言いたいことはわかった気もしますので、とりあえず、バフォートの一票はそのままにしておきましょう。・・・さて、では気を取り直して、ポラックに聞いてみましょう!」
「綺麗?それはもちろん、オニールに決まってるじゃないか。あの炎のような赤毛をご覧よ。人気実力とも、名実共に、オニールは生徒代表だよ。明るくて強くて、自信に満ちてる。内側から光り輝いてるだろう?その輝きが、綺麗なんだ。普通の人とは、オーラが違うよ」
「・・・ありがとうございましたっ!なんだか、漸くまともな意見を聞けた気がします!さて、セイヤーズはいかがでしょうっ!?」
「・・・綺麗な人?・・・まあ、外見は間違いなく、ベルジュだろう。・・・でも・・・そうだな。内面とか、本当に広い意味でなら、僕としては、今なら、フォーダムを押したいかな。完璧な美という意味で綺麗というのとは違うけど、なんというか・・・うーん・・・」
「あぁっ悩みながらフェードアウトしないでくださいっセイヤーズっ!・・・しかし、ここでもまた意外な名前が出ました!いや、同じヴィクトリア寮と考えれば、贔屓目もあるかもしれませんが・・・。それでも、三票入っていることに変わりはありません!これは、大番狂わせがあるかっ!?・・・さて、では、こうなってきますと、注目人物の周りに突撃しなくては気が済みませんっ!突撃インタビュアーとして、原因究明も大切ですっ。ではまず、ジャック・パスカルっ!お願いしますっ」
「綺麗な人?・・・うん、まあ、無難なところでシモンだろうけど・・・。綺麗な人間と聞いて、一番に浮かぶのはユウリかな。理由?あ、これ、記事になるのかい?そうだね・・・・・・」
「さり気ないっさり気ないですっパスカル退場ですっ!何故っ!?・・・これは追求しなくてはなりません!次はルパート・エミリにお願いしましょうっ」
「・・・何?これ。『月間セント・ラファエロ・ニュース』?ああ、ミーハー且つゴシップな新聞ね。僕は好きだけどね。このアンケートの内容はどうかなあ。聞く人を限定すると、凄く偏った結果が出るよ。いっそ有名人とかは全部避けて、一般生徒だけにアンケート取ったほうが公正な結果が出るんじゃないかな。え?僕も答えるの?そうだなあ・・・・・・・・・」
「あぁあっ!なんとエミリに至っては、答えも得られずに見事に煙に巻かれてしまいましたっ!何と言うことでしょうっ!?僕のインタビュアーとしての力量不足なのでしょうかっ。・・・いや、しかし、そんなことは努力と根性でカバーですっ!次はイワン・ウラジーミルにお願いしましょうっ!」
「・・・・・・くだらないな。最も可能性の高い、シモンでいいんじゃないか?」
「・・・それだけですか・・・・・・。うぅう・・・。イワンの馬・・・・・・っいやっ、落ち込んでなんていられませんっ!ラグビーのスター、マーク・テイラーにお願いしますっ」
「え?ユウリ。理由?そんなの、見ればわかるだろう?」
「・・・ある意味、シンプルですが、やはり理由がわかりませんっ。こうなったら、最近噂花盛りのエドモンド・オスカー!どうぞっ」
「綺麗な人?そんなのフォーダムに決まってるだろ。お前、目でも悪いのか?・・・理由?そりゃあ、だから、あれだよ、ほら・・・・・・」
「あぁっ!なんとオスカーまでがフェードアウトですっ。困りましたっ。これは困りましたっ!やはり、いっそここはエミリの忠告通り、一般生徒限定のアンケートに切り替えるべきかっ!?しかしいったい、何故にこうも予想外の票が多かったり、その理由が明らかにされなかったりするのでしょうっ!?・・・っえぇっ!?」
「答えてやろうか?」
「・・・・・・・・っっ!?ア・・・ア・・・アシュレイっ!?なんと、アシュレイですっ!一般生徒ではありませんっ卒業生ですっ回答をいただいたとして、それは一票に入れてもいいのでしょうかっ!?」
「・・・・・・そうか。いらないか。なんだ。つまらないな」
「・・・・・・ひ・・・ー・・・。怖いです。怖すぎます。・・・駄目ですっ!すみませんっ!突撃すべきインタビュアーとして情けなくも申し訳ないことに、これ以上の続行を断念します・・・っ!」
「・・・・・・いいのか。本当に。この俺が、協力してやるって言ってるってのに。・・・本当に、いいのか?」
「す、す、す、すみませんっっ!!!」
神出鬼没の魔術師の前から脱兎の如く逃げ出したインタビュアーの、その後の無事は、誰も知らない。
因みに、翌月の『月間セント・ラファエロ・ニュース』の一面に、『綺麗な人は好きですか!?突撃インタビュー!』の記事は、なかったという。
何があったのか、誰が動いたのかは、知る者だけが知っている・・・。
終
言い訳
・・・・・・すみません。ほんっとうに、意味ないですね。今までも、どうでもいい話でしたが、これほどではなかったでしょう。因みに、インタビュアーはオリキャラです。すみません。さて、誰が動いたんでしょうねえ。そして、どうして皆理由を言わなかったのでしょう。誰の目が怖かったのかは、謎ということにしておきましょう。ばればれですが・・・。